俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集

凄まれるように弥生さんの迫力に押されて杏の体全体に力が入ってるのが背中に当てていた手から伝わる。

安心させるように杏の手を取りなおし、恋人繋ぎでしっかりと握り直すとその手を握り返された。
弥生さんから向けられるあからさまな冷たい態度に不安がっているのが分かる。

そりゃ杏からしたら初対面で何故こんな態度をとられるのか分からないのだろう。

俺の先輩って定だからか杏も下手に口出し出来ずにいるみたいだし、どうしていいのか分からずに繋いだ手をに寄り添い不安そうに俺を見上げてきた。

デジャヴ、再び!!!!!
やっべぇって!
超可愛い!
なんなのこの顔。
これってやっぱ、やきもちだよな。
だよな!?
杏からこんな顔を向けられるなんて、ぞくぞくする。
堪んねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!

あーーーー、さっさと帰る。
時間の無駄だって。

いや、待てよ。
俺の願望で、妄想で、嫉妬してる風にみえるだけとかじゃねぇよな。……な、?

杏の顔を確認するように見つめなおし、その視線に気付いた杏がすがるように眉を寄せる。
『行かないよね?』
なんて、訴えてるように。

訴えてるよな!?
俺の妄想じゃねぇよな!?

まてまてまてまてまてまて。
落ち着け、俺。
かなり情けないけど、待て。
だって、杏の嫉妬なんて超レアなんだよ!
興奮するじゃん!!

俺の妄想じゃないという確たる証拠が欲しい。
どうしよう、
どうしたら。

心の中の葛藤を気取られぬ様に、努めて冷静に杏に笑いかける。

ちょっとだけ。
そう、ちょっとだけでいいんだ。
杏の感情を俺に見せて欲しかったんだ。
いつもなら即座に断るはずだったのに。

「………………杏。ちょっとだけ待てる?」

思わず口から出てしまった台詞に対して杏が唇を噛んだのに気付く。
その一瞬の顔。

それも又いつかのデジャヴで。

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