俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集

杏が杉本から受け取ったドリンクに口をつけようとすると、ほのかにアルコールの匂いがした。

これって、お酒?

思わず飲もうとした手を止め、考えあぐねていると杉本から声をかけれた。。


「どうした?飲めなかったか?」
「えっと、そういうわけじゃないんですが……これってお酒ですよね?」
「ああ、そんなに強くないぞ?」
「あーーーーー。でもちょっと止めときます」
「何だ?アレルギーとかか?」
「いえ、違います」
「ん?」

何となく理由を言うのも憚られて、困ったように曖昧に濁すことしか出来ない。

そこに茜ちゃんから助け船が出る。


「先生、杏ちゃん彼氏からお酒禁止令が出てるんですよ!」


あけすけに事実をそのまま告げられて、何故知っているのかと言うことと、彼氏という存在を告げられた恥ずかしさが杏を襲う。


「あ、茜ちゃん!」


ポッと、杏の頬が紅く染まる。


その無防備な姿が更に人を惹き付けていることに全く気付くこともない杏の心中は、『こんな私に彼氏がいるなんて誰も思わないだろうから恥ずかしいっ……』
なんて検討違いな事ばかり考えていた。


「何だそれ??」


少し不機嫌に杉本が尋ねた。


事実なのだが、それをそのまま伝えるには恥ずかしいと困る杏の代わりに答えたのは茜だった。


「杏ちゃんの彼氏、心配性なんです。自分のいないところで飲んでほしくないそうですよ?さっきお願いされましたもん」


笑いを含みながら茜が種明かしをする。
さっき、優ちゃんからの電話に出ているときに茜と恭一が話していたときだ。

茜からしたら、杉本を含めて周りのいる男子に対しての牽制も込めて恭一の話を出したのだ。
彼氏つきに変な気を持つな、と。
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