俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
「もしかして付き合い始め?」
「あー盛り上がってる時期ね」
「でもさ、そういう場合相手は遊んでんだよね」
途端に意地悪く笑いながら悪態をつく彼らに杏も眉を寄せる。
が、しかし過去とはいえ恭一君が遊んでいたのは事実だ。
くそぅ、反論できない。
だが多少なりともアルコールの入っている相手に真面目に返す事もあるまい。
そして2度と会わないであろう相手だ。
苛立ちをぐっ、と堪えて笑みを浮かべる。
「心配してくれてます?ありがとうございます、覚えておきますね」
瞬きもせずに視線を逸らさず話す杏に笑っていた彼らから笑みが消える。
あーぁ、杏ちゃん怒っちゃった。
あの目力でこられると怖いよね。
茜と優は顔を見合わせて苦笑いした。
もうここで会話する気もなくなった杏は「そろそろ……」と話を終わらせようとしたが、言い終わる前に杉本が声を重ねてきた。
「笠原はさ、本当にいいの?」
「えっ?」
「笠原は相手にそーゆうこと求めてる?」
恭一君に?
「彼氏からだけなんだろ?」
「……まぁ、そうですね」
「一方的過ぎねぇ?」
「……そうですか?」
「もっとさ、笠原を自由にしてくれる男もいると思うけど?」
杉本先生が何を言いたいのか分からない。
「ちょっ、ちょ、すぎやん!?」
「えっ?何何何?本気?」
「うわっ、キタ!生徒と教師の禁断ラブ!」
周りで囃し立てる既にモブと化した彼らを名前で呼ぶ気にもなれない。
そんなモブ達の台詞を気にすることもなく杉本は続ける。
「あーーー、あのさ。連絡先教えてくんね?」
「えっ?いや、あのだから無理━━━」
と断りの台詞に重ねて畳み掛けるように杉本が追い込みをかける。
「もう卒業してるから教師と生徒じゃねぇし、いい大人だろ?自分で判断しろよ」
「いや、あの!」
「一目惚れ、したんだよね。マジで」
「はっ!?」
「先生としてじゃない俺を知ってからでも断るのは出来んじゃん」
「なっ、、」
「知る前から振られるとか、諦めらんねぇし」