俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
「あのっ、いい加減冗談止めてください!」
「本気だよ?」
「そんな事あるはずないじゃないですか!」
「何で?」
「だって、生徒ですよ?」
「うん、俺もビックリしてる。あるんだな、一目惚れって」
「っ、!!!」
さらりと交わされる会話に断っているはずなのに杉本に響いている気がしない。
「さて。見せ物はそろそろおしまい!お前らも時間考えて解散しろよー」
急に教師のような口ぶりを出す杉本にほっとした。
やっと終わった?
見世物にされたことは気に入らないが、解放されるならこの隙に逃げたい。
「えーーー終わりかよーー」
「すぎやんもっと頑張れよー」
「大人の色気ってやつ、出さないのかよー」
相変わらず楽しむモブに苛立ちも沸騰寸前だが、相手をしている暇はない!
逃げよう!と、茜ちゃんと優ちゃんと頷き合う。
踵を返して出口に向かおうと足を踏み出した瞬間、パシッと腕をとられた。
「こっからは大人の時間。本気モードをお前らに見せるかよ。笠原、送ってく」
「「「ヒューーーーー!!!」」」
一気に盛り上がる会場に、青ざめる杏。
「ヒューーー」じゃないって!!!
もう、本当に嫌だ!
取られた腕を、なんとか外そうとぶんぶん振るが男の力には敵わない。
「先生!困る!離してください!」
「すぎやん!ちょっと強引だって!」
「杉本先生、やりすぎですって!」
優ちゃんと茜ちゃんも止めにはいる。
「うん、大丈夫。一応教師だしね。ちゃんと帰すよ」
送り狼にはならないから、なんて教師が笑いながら言うことじゃない!
足を踏ん張って歩き出そうとする先生を食い止める。
「あのっ、笠原さん!」
全く周りが見えてなかった杏の前に一人の女の子が駆け寄ってきた。
「橘さん……」
「うん、大丈夫?」
チラリと腕をつかむ杉本を見て苦笑する。
大丈夫じゃない!
藁にもすがるように声をかけてくれた橘に大袈裟に首を振る。
アハッ、と軽快に笑って橘が出口の方を向いて指を指した。
「お迎え、来てるよ」
にっこり笑って、「良かったね、」と言いながら頑張って!と言わんばかりに肩を叩いて去っていった。
その先には……惜し気もなく笑顔を振り撒く
「恭一君……」
助かった!!!
助かった、けども!!!
怖すぎるっっっっ!!!