11時30分に解ける魔法
夢……。
私は部屋の中を見回した。
「そういえば、私が投げ捨てた花も、叩き割ったグラスもないわ」
添真は、
「あれのことか」
と離れた位置にある大きなテーブルを指差す。
そこには、シャンパンクーラーと呑んだあとのあるグラスが二つあった。
「狐につままれた気分だわ」
と言って、莉音は添真の斜め前、窓に向かって置いてある、アンティークな布張りの椅子に腰掛けた。
「そういえば、私、このホテルの庭にある、『なんでも願いが叶う泉』とやらに45円投げたんだったわ」
と言うと、
「なんで、45円だ」
と訊いてくる。
「始終ご縁がありますように」
「……強欲だな」
俺以外の縁がいるということか、と言ってくる。
それを無視して、莉音は言った。
私は部屋の中を見回した。
「そういえば、私が投げ捨てた花も、叩き割ったグラスもないわ」
添真は、
「あれのことか」
と離れた位置にある大きなテーブルを指差す。
そこには、シャンパンクーラーと呑んだあとのあるグラスが二つあった。
「狐につままれた気分だわ」
と言って、莉音は添真の斜め前、窓に向かって置いてある、アンティークな布張りの椅子に腰掛けた。
「そういえば、私、このホテルの庭にある、『なんでも願いが叶う泉』とやらに45円投げたんだったわ」
と言うと、
「なんで、45円だ」
と訊いてくる。
「始終ご縁がありますように」
「……強欲だな」
俺以外の縁がいるということか、と言ってくる。
それを無視して、莉音は言った。