永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。


***


午後3時、私以外のみんなは、やってきた両親の面会で、デイルームに行っていた。


「静かだなぁ……」


急に一人になると、寂しくなる。

それだけみんなが、私の心の支えになってるって事だ。


私はベッドにテーブルをつけて、その上にお気に入りの雑誌を置く。


もちろん、『行ってみたい関東観光スポット特集』の雑誌だ。


無意識に沖ノ島の海が載せられたページを開く。

そして、指先、写真の海をなぞった。


「………ここは、見えない格子のある、籠だ……」


ここ……病院は、見えない格子に覆われていると、私は思う。


どこかへ行きたいと願っても、自由なんて無い。

だから必至に、籠の中の幸せを探すんだ。


それが、私にとっては……同じ籠の中で生きるみんなだった。


幸せだけど、命は長らえても……全ては自由と引き換えに得るもの。


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