永遠なんてないこの世界で、きみと奇跡みたいな恋を。
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午後3時、私以外のみんなは、やってきた両親の面会で、デイルームに行っていた。
「静かだなぁ……」
急に一人になると、寂しくなる。
それだけみんなが、私の心の支えになってるって事だ。
私はベッドにテーブルをつけて、その上にお気に入りの雑誌を置く。
もちろん、『行ってみたい関東観光スポット特集』の雑誌だ。
無意識に沖ノ島の海が載せられたページを開く。
そして、指先、写真の海をなぞった。
「………ここは、見えない格子のある、籠だ……」
ここ……病院は、見えない格子に覆われていると、私は思う。
どこかへ行きたいと願っても、自由なんて無い。
だから必至に、籠の中の幸せを探すんだ。
それが、私にとっては……同じ籠の中で生きるみんなだった。
幸せだけど、命は長らえても……全ては自由と引き換えに得るもの。