別れるための28日の蜜日
前に聞いたことがある。
律人より3つ年上の悠人さんはひとりっ子の律人にとって本当の兄のように仲がよくて、なんでも完璧にこなすスーパーマンだって。

でも今の電話、聞いていた悠人さんとは大分イメージが違うんだけど。

「俺の事可愛がってくれてる分、干渉も激しいんだよ。特に恋愛ごとはさ、しばらくグジグジ悩んでたの知ってるから気になってたみたいで。
ほら、昨日は急に啖呵切って飛び出したし」

ため息混じりに説明した律人が情けない顔をするから、ふふっと笑い声が出た。

「愛されてるんだ、律人」

「俺が愛して欲しいのは百合だけなんだけど」

ちょっと拗ねた顔で近付いて来た律人の手には花を模ったダイヤのリング。こないだ書斎で見つけた指輪だ。

「一年半以上前に買ったんだけど、サイズ変わってないよな?」


そっか、そんな前から用意してくれてたんだ。だから今の私にはちょっと可愛らし過ぎるデザインだったんだ。

< 139 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop