別れるための28日の蜜日
「多分、大丈夫」

返事した声が震えてる。私、泣いてしまいそうだ。

でもヤダ、泣きたくないよ。これ以上ないってくらい優しい顔で笑う律人の顔も、そっとはめられた指輪もキチンと見ていたい。

「あぁ、やっぱり良く似合う」

でも、満足そうな律人の声にこらえ切れなかった。

ポロリポロリと涙が溢れてしまう。

「なぁ、それって嬉し涙だよな?」

「‥‥わざわざ確認しないでよ」


意地っ張りな返事を返す私抱き締めながら、律人が幸せそうに笑う。

「そうだ、斉藤に連絡しとかないとな。煽られた感満載だけど、おかげで上手くいったんだし」

「ん、そうだね。私もいっぱいお礼言わないとだよ。色々心配かけちゃったもん」

それから、町田さんにも。律人には言えないけど。


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