摩天楼レボリューション
「だって、ついさっき出会ったばかりなのに…。他にどなたか親しい人を誘えたんじゃないんですか?」

「いや、一人で来る事に決めたのはつい最近だから。もう皆予定を入れてしまってたと思うよ」


そこで黒須さんはワインを口にし、飲み下してから続けた。


「それに、男同士でこういう所に来るのは何だか微妙だし、かといってうかつに女性を誘ったりしたら妙な誤解を与えてしまうかもしれないからね」

「それは…確かにそうですね…」


『クリスマスイブに綺麗な夜景の見える高級フレンチでお食事』だもんね。
もちろん部屋には泊まらせないだろうけど。


「だから一人で来る決心をしたんだよ。だけどその道中、急に迷い出してさ。そんな時に君に声をかけられて、これ幸いとそれに乗っかり、そして今に至る、と」

「す、すみませんでした」


今さらながらに自分の行動がこっ恥ずかしくなり、尋常じゃなく頬が熱くなった。


「いやいや、俺的にはむしろ助かったよ。だってさ」


そこで黒須さんは周囲に視線を配ってから続けた。


「さすがにこのカップルまみれの中、一人で食事するのはいたたまれなかったから。だからいわば君は救世主ってわけ」

「そ、そんな…」


照れはしたけど、黒須さんにそう言ってもらえて、大分気持ちが楽になった。

そして同時に、これなら心配はないだろうと思う。
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