摩天楼レボリューション
さほど強い力を加えられた訳ではないのに、私はそれに従う形で踵を返し、足を踏み出してしまう。


「うっそー」
「マジでー！？」


すぐに抗って立ち止まろうとしたのだけれど、背後からのその歓声に思わずビクッとなった。
変な方向にテンションが上がってしまっているであろう彼女達の元に戻るのは、それはそれで大いに抵抗があり…。

結局私は男性と共に、逃げるようにしてその場から離れてしまった。


だけど一体この人は、どこに向かっているのだろうか？
いつ、どのタイミングで「すみません、やっぱりやめときます」と切り出すべきか。
だけど今さらそんな事を言ったりしたらキレられたりしちゃうかな？
一見紳士っぽいけど、人は見かけ通りとは限らないから…。

なんて事を一人悶々と思い悩みながらも５分ほど歩き、どうやら彼が目指していたらしい場所に到着した所で、私は改めて恐慌状態に陥った。

何故ならそこは「B.C. square TOKYO」という、日本中にその名を轟かせている超有名な高層ビルだったから。
ホテルやオフィス、ジムやクリニックや飲食店なんかが入っている複合施設で、先月に生誕６周年を迎えた。
まだまだ新参者にも関わらず、都内の観光スポットとしてすでに確固たる地位を築きつつある。

私自身はまだ足を踏み入れた事はないけれど、ここは通学路なので毎日バスで目の前を通過しており、もうすっかり見慣れた建物なのであった。
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表紙・目次

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