摩天楼レボリューション
そしてコースの締めくくりとなるコーヒーが運ばれて来る。

カジュアルでリーズナブルなレストランでは食前、料理と一緒、という風に飲むタイミングが選べるけれど、高級フレンチでは必ず最後に出されるようだ。
やはり料理の味を損なわないようにする為なのだろうか。

驚いたのは、そこに小ぶりなサイズのシュークリームが添えられていたことだった。

黒須さんが頼んでいた記憶はないし、おそらくそれもサービスで提供されるものなのだろう。

『これが出る事が分かっていれば別にデザートはいらなかったんだけどな…。なんだかお金がもったいないかも…』などと一瞬セコい考えを抱いてしまったのだけれど、奢っていただく立場なのだからここは素直に『あれこれ食べられてラッキーだった』と喜んでおくべきだろう。


「食後のお酒はいかがなさいますか?」


おまけのデザートのお皿が空になり、コーヒーも飲み終えた所で、スタッフさんが現れ、問い掛ける。


「いえ、結構です。お会計をお願いいたします」

「かしこまりました」


一旦その場を離れたスタッフさんが明細書を持って再びテーブルに現れ、席に着いたまま黒須さんが支払いを済ませた。


「ごちそうさまでした」


まさかこの段になっても無言のままでいる訳にはいかないだろうと思い、私は彼に対してそうお礼を述べた。
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