摩天楼レボリューション
そしてなかなかその振動が止む事はなかった。

今までの私だったら恐怖のあまり卒倒していただろうけど、こんな小さな機械越しの悪意なんてどうでも良い。

私はこれから戦うんだ。
暗闇から抜け出すんだ。

だって、夜明けを見た人間の、強さと気高さを知ったから。

私もいつか、あの人と同じステージまで上り詰めるんだ。

道標があるから、もう迷わない。
どんなに険しい道のりだって、挫けずに歩き続けて、絶対にゴールまでたどり着いてみせる。

努力すれば、人は必ず、それに見合う幸せを手に入れられる筈だから。

夢を現実にする事だってできる筈だから。


……黒須さんと同じ、隅谷書房に就職する事だって。

それなら、言い訳や理由を考える必要などなく、堂々と、胸を張って、あの人と再会できる。

再び目の前に立った時、黒須さん、私のこと、すぐにあの時のあの子だって、気が付いてくれるかな。

そこで私は振り返り、背後にそびえ立つ B.C. square TOKYOを 仰ぎ見た。

あの摩天楼の中で、いつもよりも確実に神様に近い場所で、まるで天からの使いのように清らかで慈悲深い黒須さんに励まされ、導かれ、私は生まれ変わった。

心の奥底から沸々と、とても前向きで強い気持ち、そして何故だか瞳からは、熱い涙が込み上げて来る。

頬を伝ったそれを素早く右手で拭うと、私は前に向き直り、力強く、未来への第一歩を踏み出したのだった。
< 46 / 56 >

この作品をシェア

pagetop