摩天楼レボリューション
バスから歩道に降り立った私は、そのまま駆け出した。
そして数100メートルの距離にある家の前までたどり着くと、逸る気持ちをなだめつつインターホンを押す。
『はい』
「あ、おじいちゃん。私」
『おお、いよちゃんか。いらっしゃい』
「入ってもいい?」
『はいよ、どうぞ』
その言葉と同時に左手下部の方で『カチリ』と音がした。
おじいちゃんが手元のリモコンで門扉の鍵を解錠してくれたのだろう。
私はそれを開閉し、玄関前まで駆けて行くと、これまたおじいちゃんがロックを解除してくれていたドアを開けて中に入り、お客さん用のスリッパを取り出した。
ここはお母さんの実家なのだけど、比較的我が家から近く、小さい時から頻繁に出入りしているので、勝手知ったるなんとやら、なのであった。
スリッパを履き、廊下を進んでリビングまで到達した私は、ソファーにちょこんと腰掛けていたおじいちゃんを見るやいなや、テンション高く言葉を発した。
「おじいちゃん。私、隅谷書房から内定もらったよ!」
「おや。そうかいそうかい。それはおめでとうさん」
途端におじいちゃんは破顔し、そう祝福してくれた。
「良かったなぁ。いよちゃん、ずっと頑張ってたもんな」
「うん。だって、私にとっては憧れの場所だったんだもん」
ずっとずっと、あそこに入りたかったんだもん。
だって隅谷書房は…。