摩天楼レボリューション
それでも、とても憧れていた、やりがいのある仕事に就けたから、おばあちゃんはどうしても辞めたくなかったようだ。

しかしお母さんいわく、「確かに二人はあまり家にはいなかったけど、大切な場面ではきちんと親の役割を果たしてくれていたし、ないがしろにされているとか寂しいと感じた事など一度もない」とのこと。

だからこそお母さんもおばあちゃんの背中を追いかけたのだし、皆からの「素晴らしい人」という評価に繋がっているのだ。

おじいちゃんとおばあちゃんが働いていたその会社こそが、何をかくそう、私が今回内定をもらった隅谷書房なのである。

おじいちゃんは雑誌の記者、おばあちゃんは文芸部門の編集者をしていたらしい。

二人が約40年通い続けた、そしておばあちゃんがそれほどまでに魅了されたその場所で、私もぜひとも働きたいと思った。


「でも、ホント嬉しい」


お仏壇に供えていたお菓子を下げ、リビングのテーブルの上に置いたあと、私はおじいちゃんに向けて改めて胸の内を吐露した。


「隅谷書房って出版社では老舗の最大手だし、とんでもない倍率なんだよ。まさか私がそこを突破できるなんて」

「今までの努力が報われたんだよ」

「それに、これであの約束が実現する訳だし」

「約束?」

「うん」
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