摩天楼レボリューション
不思議そうな顔で、首を傾げて聞き返すおじいちゃんに解説した。


「お母さんにお願いしてたんだ。無事隅谷書房に就職が決まったら、あの天下の「B.C. square TOKYO」の中の高級フレンチに連れて行ってって」

「ほぉ、そうかい」

「聞いたよ。お母さんの20歳の誕生日の時に、家族四人で食事したんだって?」

「ああ」


おじいちゃんはコクリと頷いてから続けた。


「子供が二人とも無事に成人して、家族でお酒を楽しめるようになったからね。奮発してあのレストランに連れて行ったんだ」


そこでおじいちゃんは眉尻を下げた。


「ホントはもっと頻繁に連れて行ってやれれば良かったんだが、まずあそこは中学生以上じゃないと入れないし、何しろ私もおばあさんも仕事が忙しかったからなぁ。だから二人の子供が成人し、なおかつ私が定年を迎えて、比較的時間ができたその時に初めて行けたんだよ」

「でも、たとえ時間があったとしても、あそこって一人の食事代が平均3万円くらいになっちゃうんでしょ?そんな度々は行けないんじゃないの?」


私は思わず身を乗り出しながら力説した。


「普段からそんな贅沢に慣れちゃってたらダメだと思う。ここぞという時に利用するからこそレア感が味わえるんだし、そこに行ける有り難みが増すんだから」
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