甘々なボスに、とろけそうです。


「いえ……ブランドとかわからないので、いくらまでかは。でも、高いと思います」


里香子さんが、そんなことを言っていたもん。


「さっき飲んだコーヒーの、何杯分だと思ってんの」


「え? それは……」


何杯だろう。考えてもわかりやしないが……突然なんのクイズですか?


「鉄からは貰うのに、僕からは貰えないとは言わせないよ」


(新條さん??)


「ご、ご馳走さま……です。ありがとうございます」


「うん。それでいいんだよ」


新條さんが、納得するように、微笑んだ。





それから私たちは、所謂一見さんお断りの、会員制VIPラウンジにやってきた。さっき過ごしたカフェよりずっと上の――最上階であるところの、55階に位置するここへ、またもや専用エレベーターなんてもので上がってきた。

フカフカのソファにかけ、お酒でも飲みそうな雰囲気のこの場所で、再びお茶をした。

さっきよりも更にお高い雰囲気なもので、今度こそ迂闊におかわりなどしないと心に誓い、温かい紅茶をちびちびと飲む。が、それを見抜かれてしまい、『気にしないでってば』と念を押されておかわりを注文。


「もらってばかりで、申し訳ないです」


「コーヒーや紅茶くらいで、いちいち気にしないでよ。ここのお酒でオススメのものがあるんだけど、このあと約束があるなら……今は、飲まない方がいいよね」


そこは、ちゃんと考えてくれているんだ……。


「いや、あの、飲み物もそうですが。たくさん、話を聞いてもらっているじゃないですか……時間潰すのに付き合ってもらっちゃって、すみません」

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