甘々なボスに、とろけそうです。


私の左隣に腰掛けたのは言わずもがな、ご主人様――ではなく、ボスだ。私はボスほど黒の似合う男性に、出会ったことがない。

ほんと、カッコイイ……まるで、黒豹みたいだと思った。


「遅いよ、兄さん」とボスを睨む里香子さん。


「お疲れ様です社長。お先ににいただいて、すみません」


「裕樹、ここは会社じゃないんだ。気など使うな」


店員さんが、ボスのグラスにワインを注ぐ。続いて、空になった里香子さんのグラスにも注がれた。


「乾杯」


4人一斉にグラスを掲げる。そして、口へと運んだ。里香子さん程じゃないが、私も酔っている。ふわふわと、気持ち良いくらいには。


「綺麗だ」


ボスがこっちを見て、そんなことを言う。あぁ、夜景のことか。私は右手に見える絶景に目をやる。


「ほんと、綺麗ですよね。高いところって正直得意ではないのですが……ここの窓からの夜景は、素晴らしくて見とれちゃいます」


「違う」とすぐに否定すると、私の肩をグイっと抱き寄せ、クイッと顎を持ち上げてきた。おかげで私は、ボスと目と目が合う。それも、凄く、至近距離で。


(どうしたんですかぁあ!?)


「まぁ」


里香子さんが、そんなことを囁くのが聞こえる。

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