男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

スカートを摘んで、「すみません、わたくしはこれで失礼します」と挨拶すると、逃げるように謁見の間から出て行った。


クロードさんも一緒に廊下に出たので、きっとエリーヌ嬢を上手く慰めてくれると思うけれど……私は彼女を心配し、つい殿下を睨んでしまう。

か弱い女性に対して、あの言い方は、余りにも酷いと思う。


私がそう思うくらいなのだから、当然、父親であるバルドン公爵は、顔を真っ赤にして怒り出した。


「エリーヌを傷つけて、なにが楽しいというのですか!」


「楽しくはないな。むしろ不愉快だ。叔父上が連れて来なければ傷つけることはなかったのだから、今後は屋敷に置いて来ることだな」


「殿下は一体、エリーヌのどこがお気に召さないと? 国中の貴族の娘を集めても、エリーヌより優れた娘はおりませんぞ。エリーヌこそ大公妃に相応しい。いい加減に、妻を娶られよ!」


一気にまくし立てたバルドン公爵は、肩で荒い呼吸を繰り返していた。

大公家というのは、代々若くして妻を娶るもの。

それは絶対に後継ぎが必要だからだ。

妻が男子を身篭れないのなら、子を産むためだけに妾を置かねばならない。

大公殿下は二十五歳なので、早く結婚をと周囲が焦るのも分かる気がする。

バルドン公爵に限っては、大公妃がエリーヌ嬢でなければ許さないという、腹黒さが見えるけれど……。


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