男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
殿下に睨まれ、怯んだ様子を見せていたバルドン公爵は、自慢の娘よりも妻にしたい女性がいると聞かされると、再び勢いを取り戻し、口撃を始めた。
「そんな見え透いた嘘を、よう仰いますな。殿下が女嫌いなのは有名ですぞ。
それともアレですかな? そこにいる青い衣を着た少年を妻に娶るとでも? 続き間に住まわせていることも、耳に入ってきましたぞ」
赤くなった後は、ギクリとして焦り始める私。
バルドン公爵にも知られているということは、屋敷内の使用人たちの間では、どんな噂にされていることやら……。
女だとバレて以降、朝晩の食事を大公家のプライベートルームで頂いているが、それだけではなく、寝起きする部屋も移されていた。
大公殿下の寝室のすぐ隣にある続き間に。
続き間なので、ドアは二ヶ所。
廊下側の他に、殿下の寝室に出入りできるドアもついているのだ。
ここは本来、殿下の身の回りの世話をする執事が、交代勤務で夜間泊まるための部屋だったのに、私の部屋にすると言われたときは、目の玉が飛び出すほどに驚いた。
なんの目的があって、殿下はそんなことを決めたのかと……。