男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

そう言って私の失礼を許してくれた彼女は、その後に両手をパチンと合わせて何かを思いついたように顔を輝かせた。


「そうだ、今日はお天気がいいから、お庭の池の前でお茶会を開こうかしら。ボートも出してもらうわ。ね、ステファンいいでしょう?」


「え、僕もですか? 僕はこれから授業が」


「午後の話よ。ラテン語なのでしょう?」


「時間割をよくご存知で……」


ラテン語が得意な私は、教師から特別にラテン語の授業を免除されている。

だから今日の午後は時間が自由に使えるので、青の騎士団の詰所に行って、剣の稽古に汗を流そうと思っていたのだけれど……。

困り顔になった私に、リリィの眉がハの字に傾く。


「ダメなの……?」


そんな寂しそうな顔をされたら、ダメとは言えない。

剣を振るえないのは残念だけど、リリィと話をするのを楽しいと感じることでもあるし。

それで私は頷いた。


「いいですよ。では午前の授業が終わりましたら、庭に向かいますね」


リリィの顔がパッと輝く。

「ステファンありがとう!」と飛びついてきて、それまで側で黙っていた侍女が、「リリィ様、ここは廊下ですよ」と困った顔して注意をしていた。

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