男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました


午前の授業がようやく終わり、私は庭へ。

バラの垣根を越えて芝生を進むと、目の前には大きな池があり、その脇にリリィのお茶会会場が設けられていた。

さすがこの国のお姫様。

十二歳の女の子が思いつきで開く、ままごとみたいなお茶会とわけが違う。


立てられた支柱に張られた、日除けの大きな布。

その下にガーデンテーブルが六つ置かれていて、小花柄のテーブルクロスが掛けられていた。

レンガを積み上げた即席の焼き窯が用意され、調理人がなにかを料理している。

メイドと執事が三人ずついて、忙しそうにお茶を入れる準備中。

招待されたのは私だけではなく、リリィのお気に入りと思われる使用人たちが、今ばかりは客として椅子に座っていた。


もっと簡単なピクニックのようなものだと思ってたのに……。

苦笑いしながら、私は歩み寄る。

リリィは侍女とのお喋りに夢中で、後ろから近づく私にまだ気づいていない様子。

声が届く距離まで近づいて、「リリィ」と呼びかけると、パッと振り向いた彼女の顔に笑顔の花が咲いた。


「リリアーヌ嬢、本日は、お招き下さり光栄です」


固い挨拶と共に、わざと正式なお辞儀を披露すると、リリィもツンと澄まして答える。


「よろしくってよ。存分に楽しむといいわ」

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