男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

しかしリリィの答えはその逆で、「行ってみたいけど、毎年、お兄様がダメって言うの」というものだった。

意外そうな顔を見せた私に、リリィは口を尖らせて説明する。


「兄馬鹿なのよ。私に悪い虫が付かないようにって、お呼ばれされるパーティーは、お兄様がすべて断ってるわ。私が参加を許されるのは、お兄様主催の晩餐会だけなの」


過保護な兄と、外に出たいのにとむくれる妹の会話を想像し、私は笑った。

なんて微笑ましい兄妹なのだろうと、心がほっこりさせられる。


「殿下はリリィを溺愛しておいでですから、仕方ありませんね」


そう返して笑う私に、リリィは頬を膨らませて「大変なのに」と文句を言う。

それから、急にニッコリ笑って反撃してきた。


「ステファンだって、アミルお兄様に愛されているじゃない」

「えっ!?」

「続き間のことよ。護衛のためって言ってるけど、本当はステファンともっと仲良くなりたいからだと思うわ。お兄様って、そういう人なのよ」


もっと仲良くなりたいって……。

続き間に移動してから、これといった甘い展開には至っていないというのに、なぜか焦り、顔が熱くなる。

私を男だと思っているリリィなので、仲良くという言葉に深い意味はないのだろう。

それでも恥ずかしくなり、目が泳ぐ。

殿下にとって私は愛玩犬のようなものなのだからと言い聞かせ、なんとか心を落ち着かせて、話を元に戻した。


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