男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
オーラというのは、魂が発する光のようなもので、リリィは人の周りに光の靄が見えるというから驚かされる。
そのオーラは人それぞれ色が違っていて、性格の悪い人は濁った色になるらしい。
バルドン公爵の色が真っ黒だというのは、頷けた。私にはオーラは見えないけれど、会うたびに嫌な気分にさせられるから。
でもエリーヌ嬢も黒だというのは分からない。
私の目には、恋する美しいお嬢様としか、映らなかったんだけど……。
その答えは得られぬまま、バルドン家について説明するリリィの話を聞いていた。
バルドン家は西方に広大な領地を持っていて、そこからの農作物の収益はかなりの額になるそうだ。
しかし、そこからの収益よりも、貿易で得る富の方が遥かに大きいらしい。
バルドン家は都で一番の貿易会社を営んでいて、アラブ地域からの物流は独占状態。
もしバルドン公爵がアラブからの輸入を止めたら……薬や香辛料が入って来なくなり、価格が暴騰して大変なことになるそうだ。
田舎者の私は、他の貴族の情報に乏しい。
リリィの話を聞いて初めて、バルドン家の強みを知った。
大きな権力を持つ理由は、血筋的に大公家に近いからだと思っていたけど、それだけじゃなかった。
「叔父様を怒らせれば、貴重な薬や香辛料が入ってこなくなる。だからお兄様も、あまり強く出られないのよ」と、リリィが教えてくれた。