男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

目の玉が飛び出しそうなほどに驚いた後は、リリィのプロポーズに焦り始める。

本当は女だから……とは言えないし、どうやって断れば傷つけずに済むのか。

色々な断りの言葉を頭の中に並べてみたけれど、どれも泣かせてしまいそうで使えない。

困るばかりで答えられずにいたら、リリィの顔が曇り、「私のこと、嫌い?」と、泣きそうな声で問いかけられた。


「嫌いじゃないです!
リリィは可愛くて、明るくて、大好きです」


「よかった! じゃあ、結婚してくれるのね?」


どうしよう……断ることも、頷くこともできない。

困り果てた私は、全てを大公殿下に丸投げすることに決めた。


「まずは殿下のお許しをいただかないと……。
リリィには、僕のような田舎貴族は相応しくないと、反対される気が……」


ボートが揺れたのは、リリィが飛びついてきたからだ。

慌てて彼女の肩を掴んで引き剥がし、「ドレスが汚れます」と心配したが、「そんなのいいわよ」とまた抱きつかれた。


遠くでお茶会をしている、使用人たちの目が気になった。

これって、すごくマズイのでは……そう思っていると、やっと私から離れてくれたリリィが、はにかむような笑顔を見せた。


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