男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
「うーん、どうだろう」と、クロードさんは腕組みして考えて、少ししてから答えを出した。
「アミルの結婚と後継ぎを望む声が、強まっているのは確かだよ。それは邪視騒ぎというより、二十五という年齢のせいだけど。
でも、バルドン公爵が強引な持論をあちこちで吹聴すれば……邪視の変死騒ぎは本当に、アミルが結婚しないせいにされちゃうかもね」
なるほどと、クロードさんの意見に納得させられる私。
早く邪視騒ぎを収めなければ、バルドン公爵の思い通りの展開になりそうだと、不安が増し、焦り始める。
殿下はまたなにかを考え始め、黙り込んでいた。
その眉間には深い皺が刻まれて、「やはり……」と独り言を呟いている。
「アミル?」とクロードさんが呼びかけると、殿下は険しい顔して立ち上がった。
「七年前と同じだな。邪視騒ぎで得をするのが、叔父上だということが。
詰所に行ってくる。バルドン家を見張るよう指令を出す。お前たちはついてこなくていいぞ」
言うや否や、殿下は早足で謁見の間から出て行き、私とクロードさんが残された。
やっと壁際から離れた私は、玉座の横に立つクロードさんの側に歩み寄り、説明を求めた。
「あの、殿下はなにをお考えなのでしょう?
バルドン公爵の屋敷を見張るって、どういうことですか?」