男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
廊下に出て行ったクロードさんは、すぐに邪視の少年を連れて戻ってきた。
歳は七歳くらいだろうか。
肩までの黒い髪はボサボサで、黄み掛かった肌は薄汚れている。
服だけは着替えさせられたのか、清潔な白いシャツに真新しい茶色のベストとズボンを身に付けていた。
両目を覆う包帯は、まだ解かれずにそのまま巻かれていて、クロードさんに手を引かれて、赤絨毯の上をゆっくりと進んでいた。
邪視を信じる貴族たちは、恐れおののいている。
その姿さえも目に入れては毒だというように、下を向いたり、目を瞑ったりしている者もいた。
少年は赤絨毯の上の、接近限界のラインまで連れていかれて、そこにペタンと腰を下ろした。
座るように言われたのではなく、足が震えて立っていられないみたい。
クロードさんが大丈夫だから立つようにと声をかけても、怯えから足に力が入らないようだ。
困った顔で玉座を見たクロードさんに、殿下は「そのままでいい」と答えた。
それから立ち上がり、少年の目の前まで近づくと、絨毯に片膝をついた。
「怖がらなくていい。俺はお前を助けたいと思っている。名は、なんと言う?」