男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
自分からは開けたことない、この扉。
深呼吸をして決意を固めると、小さく三度ノックした。
ドアの下の隙間から明かりが漏れているので、殿下がまだ起きていることは分かっている。
すぐに「どうした?」と声がして、私は思い切ってドアを開け、一歩、足を踏み入れた。
「こんな時刻にすみません。
どうしても聞いていただきたい、お話が……」
初めて目にする殿下の寝室は、私の部屋の三倍ほども広かった。
立派な机と書棚、テーブルセットにキャビネットが四つ。
大きな暖炉には赤々と炎が揺れている。
ベッドは部屋の中ほどにあり、広々として天蓋まで付いていた。
そのベッドの縁に腰掛けている殿下が、私を見ている。
白い寝間着の上に藍色のガウンを羽織った姿に、大人の男性の色気を感じてしまい、心臓が大きく跳ねた。
そのせいで、寝室に立ち入るなどと、自分が随分と大胆な行動を取っている気持ちにさせられ、急上昇した恥ずかしさに言いたい言葉を忘れそうになっていた。
頬を赤らめて俯いた私を、殿下は優し声で呼んでくれる。
「ステファニー、こっちに来い。
俺に話があるんだろう?」
「は、はい」