男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
置いていかれた……。
ジャコブから手を離した私は、ガックリとうなだれる。
もしかして昨夜の殿下が、私にあんなことをした理由は、最初からこうして置いていくことを狙っていたからだろうか?
そうに違いないと、昨夜の恥じらいや幸福感さえ、今は悔しく思う。
目に見えて落ち込んだ私に、ジャコブは言う。
「青の衣を着て寝ていた理由は、早起きして連れて行ってもらおうとしていたためですか?」
「まぁ、そんなところ」
本当は違うけれど、なにがなんでも付いて行こうとしていたことは事実。
「殿下をお守りしたかったのに」と呟くと、ジャコブは小さな溜息をついてから、私を諭した。
「ステファン様が一緒ですと、殿下は余計に気を遣わねばならないでしょう。
殿下なら、なにかアクシデントがあれば、あなたを守ることを第一に考えてしまいそうですから。付いて行かない方が殿下のためです」
「僕は足手まといってこと?」
「はっきり申し上げて、そうですね。邪魔になります。殿下はステファン様より遥かにお強いので、心配せずとも大丈夫ですよ」