男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
ハッキリ言い過ぎだよ、ジャコブ……。
邪魔だとまで言われては、さらに落ち込んでしまいそうだけど、殿下は強いから大丈夫だという言葉はありがたい。
焦る気持ちが落ち着いて、心配する心が幾らか軽くなる気がしていた。
なにかあっても、殿下なら切り抜けられる。
バルドン公爵に気づかれないようにと、こっそり都を出たことでもあるし、きっと無事に帰ってきてくれるはず……。
ジャコブが出て行って、私は皺の寄っていない洗濯したての青の衣に着替えようとする。
上衣を脱いでいたら、初めて気づく。
首から下げられている、金のロザリオに。
昨夜、これが殿下の胸元に輝いていたのを覚えている。
殿下からのプレゼントだろうか?
こんな高価な物を……。
驚いた後は、一度首から外してロザリオをじっくりと眺める。
銀の鎖は単調なものではなく、水色の丸いトルコ石が等間隔に繋がれていた。
金の十字のクロスは精緻な彫刻がされていて、よく見ると真ん中に、モンテクレール家のシンボルの獅子が彫り込まれている。
なんて、立派で美しいロザリオなの……。
手の平に適度な重みを与えてくれて、ホッとするような不思議な心地よさもある。
首にかけて胸元に戻すと、大切にされているという幸福感が染み込んでくるようだ。
でも……もらうなら、殿下が帰ってきた後の方がよかった気がした。
このロザリオに、殿下を守ってもらいたかったから……。