男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

リリィと朝食をとった後は、いつものように授業を受ける。

午前の授業は論理学。

昔の偉い人の哲学を聞かされても、ちっとも頭に入らずに、私は頬杖をつきながら、ぼんやりと窓の外を眺めていた。


授業部屋から見えるのは、北側の景色。

昨日チラチラと降っていた雪は今はやんでいて、木々の枝や城壁に、うっすらと積もっているだけ。

地面の雪は、行き交う人や荷車に踏まれ、茶色のどろどろした汚い土が見えていた。


北門から荷車を引いてきた商売人や、大きな麻袋を担いで屋敷に出入りする下働きの使用人たち。

その働く姿はいつもの光景で、そこには平和な日常があり、やはり私の危惧するような事態には至らないのだという気持ちにさせてくれる。


殿下は今頃、どの辺りに馬を走らせているのだろう?

昨日、シャバネル卿の屋敷までの道程を、地図を広げて辿ってみた。

山ひとつ越えた後に森を抜け、小麦畑が広がる広大な農地を進んだ先に屋敷がある。

結構な距離を旅する、遠い道程だ。

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