暁月夜
僅かに目を見開いたその人は手に持っていた冷えたペットボトルをそっと差し出しながら私に声をかける。
「引き留めてごめん。少し君に、聞きたいことがあるんだ」
「…はい」
ありがとうございます、と呟いてそれを受けとる。
今日はまだ炭酸水を購入していないから喉が乾いていた。頂けるものは頂いておく。
それにしても、目の前の人は私に質問といった。注意されるならまだしも、質問されるようなことに心当たりはない。
内心首をかしげながら次の言葉を待つように目を合わせる。