夢幻の騎士と片翼の王女




「ご、ごちそうさまでした。」

老人は台所に立ち、野菜のたくさん入ったシチューのようなものを私に振る舞ってくれた。
いろんなことがありすぎて、すっかり忘れていた食欲がそのシチューのおかげでよみがえり、冷えていた身体に熱が戻った。



「おまえはなぜあんなところにいたんだ?
誰が、木を燃やした?」


その質問は、まるで私を問い詰めているように思えた。



「ぼ、僕……」

涙声になりながらも、私は話した。
母と一緒に家を追い出されたこと…母が湖に沈んだことを…
話すのはとても辛かったけれど、私は、話さなければならない。
私のせいで起こったことなのだから。



「なぜ、おまえの母親はそんなことをしたんだ?」

「それは…僕のせいです。」

「おまえの?……どういうことだ?」

「僕の両親はごく普通の人間です。
なのに、僕には魔導の力がありました。
お父さんは、お母さんに浮気をしたんだろうと言いました。
でも、お母さんは絶対にそんなことはしていないと言いました。」

そこまで話すと、どうにも悲しくて、私はまた涙を流していた。



「先祖返りだな…」

「先祖…返り?」

「そうだ。両親には魔導の力がなくても、もっとずっと前の時代に、魔導の力を持つ者がいると、稀に何代かしてそれを受け継いで生まれる者がいるんだ。
何も不思議なことではない。」

「僕のせいですか?」

「いや、違う。誰のせいでもない。」

当時の私には少し難しい話だったが、僕のせいではないという言葉で、なんとなく救われたような気がした。


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