夢幻の騎士と片翼の王女
「それで…さっきの火事はお前の仕業なのか?」

私は、黙って頷いた。
叱られるのは怖かったけれど、嘘は吐けなかった。



「なぜ、そんなことをした?」

「暗くて…暗くて怖くて…それで、僕……」

話そうとすると、自然と涙が溢れて止まらなくなった。



「暗闇が怖くて、それで火を灯そうと…わかった…もう良い。
今夜はもう寝なさい。」

「……はい。」

老人は、私を寝室に案内してくれた。
お母さんと泊まったあの家の部屋と同じくらいの狭い部屋だったけど、窓が大きく、ガラスも綺麗に透き通っていた。
夜空に星明かりがキラキラと輝いているのを見たら、私はとても悲しかった。
母もあの星のひとつになったのだと思うと、たまらない気持ちになった。



(お母さん……)

窓から夜空を見上げながら、私は涙を流し続けたまま、眠れない夜を過ごした。
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