夢幻の騎士と片翼の王女
深夜の訪問者(side 亜里沙)
「亜里沙様、お茶等いかがですか?」

「え?でも……」



私は柱の時計を見上げた。
時計は、夜の11時5分前。
いつも、11時には、私の部屋は外から鍵がかけられる。
なのに、今からお茶なんてどういうこと?



「今日は事情がありまして、もうしばらく起きていていただきたいのです。」

私の疑問を察したのか、メアリーさんがそう言って微笑む。



「……事情って…?」

「それはじきにわかりますわ。」

今度はアンナさんが答えて、メアリーさんと同じように意味ありげな笑みを浮かべた。



何なんだろう?気持ちが悪い…
でも、問い詰めたところで、時期にわかるとしか言わないと思う。
あの二人は、とても口が固いから。



「亜里沙様、お茶の前にお召し替えを。」

「えっ?」



いつの間にか、メアリーさんがドレスを持って、傍に来ていた。
どういうことだろう?
なんでこんな遅くに着替えなきゃいけないんだろう?
なにもわからないまま、私はドレスに着替えさせられ、髪を梳かされた。



「もうしばらくお待ちください。」

しばらくすると、良い香りのするお茶が運ばれて来た。
ハーブティーっぽいお茶だ。
時計の針は、0時15分前。



(一体、何が起きるっていうの?)



落ち着かない気持ちのまま、私はお茶をすすった。
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