夢幻の騎士と片翼の王女
「焦ることはありません。
どんなことにも必ずなにか手があるはずです。
あ……そうだ……」

神父さんは何かを思い出したかのように、そう言って、部屋を出て行った。



本当にそうだろうか?
どこともわからないおかしな国に連れ去られて、それをどうにかする手立てなんて本当にあるんだろうか?
私には何も思いつかない。



(一生、ここから帰れないんじゃ……)

不意に脳裏を過ったいやな考えを、私は必死で打ち消した。
だめだめ…まだ何もしないうちからそんな弱気になってたら…
落ち込んでいる時はなんでも悪い方に考えてしまうもの。
なんとか気分を引き上げないと…



「マツシタアリサさん、これを見て下さい。」

神父さんは筒状に巻かれた紙のようなものを持って来て、それをテーブルの上に広げた。



「あっ…」

それは地図だった。



「マツシタアリサさん、良いですか?
ここがユーロジアです。
あなたが住んでいた日本というのはどのあたりですか?」

私はその地図から目が離せないでいた。
なぜなら、その地図は私の知っている世界地図とはまるで違うものだったから。



「マツシタアリサさん…?」

「た、多分、このあたりだと…」

私は、ユーロジアから遥か北の海の上を指さした。



「ここにはなにもありませんが…」

「と、とても小さな島国で、住んでる者もごくわずかなので、知られていないのかもしれません…」

「そうなんですか!?」



神父さんは酷く驚いたような顔をしていたけれど、多分、私の嘘を信じてくれたと思う。
そんなことよりも、この地図を見たせいで、私の不安はさらに大きく膨らんだ。
どういうこと…!?ここは一体どこなの?




(まさか……)


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