夢幻の騎士と片翼の王女
執事さんはゆっくりと首を振る……



「あの……それはどういう…」

私にも執事さんの動作の意味はわからなかった。



「金で弁償など、出来るようなものではありません。」

「え……で、では、一体どうすれば……」

「命をもって償ったとしても…到底、許されるものではありません。」

「い、命ですと…!?」



ジェームスさんの顔から血の気が引いた。
きっと、私も同じような顔色をしてると思う。
だって、命だなんて…そりゃあ、大切な壺を割ったことは悪いけど、そんな…命と引き換えだなんて…
身体ががたがたと震え始めた。
こんなわけのわからない場所に連れて来られて、しかも、死ななきゃいけないなんて…



どうにも怖くてたまらなくなって、私は思わず泣いてしまった。
泣いてどうなるわけではないけど、止めたくても私の涙は全然止まらない。



「ど、どうか許して下さい。
何でもしますから…
私…まだ、死にたくありません…」

勝手なことを言ってるのはわかってるけど、私は執事さんに懇願した。


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