夢幻の騎士と片翼の王女




「失礼します。」

しばらく経って…さっきの執事風の男性が、お店を訪れた。
どんなことを言われるのだろうかと考えると、不安で不安で…私の鼓動は速さを増した。



「さ、先程は本当に申し訳ありませんでした。」

私は、執事さんに深々と頭を下げた。
だけど、執事さんはそんな私を一瞥しただけで、ジェームスさんに向かって声を発した。



「あなたがこちらの御店主ですね?」

「はい。この度はうちの者がえらいことをしでかしてしまい、本当に申し訳ございません。」

ジェームスさんにまで頭を下げさせることになってしまって、申し訳なくて見てるのが辛くなった。



「まったくです。
あの壺は、300年以上前からゼリア家に伝わる大切なもの…
なんでも、異国の王族の方から拝領した壺と言われております。」

「そ、そんな大切なものだったんですか…
そ、それで、おいくら程弁償すれば……」



ジェームスさんの声が少し震えている。
そりゃあ、そうだ。
そんな大切なものだったら、200万どころで済むはずがない…
1000万単位…そ、それとも、もうひとつ上の位??
考えると、気が遠くなりそうだった。


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