ヴァージンの不埒な欲望

『いい事』ってたぶん、彼氏ができたらって、事だよね?

髪型を変えてみたり、急に凝ったお弁当を作ったり。二宮さんが、そういう誤解をするのは仕方ないだろう。

ごめんなさい。そういう報告は、できないのです。

でも、ちょっと、そういう気分を味わって幸せを感じるのは、いいですよね?──




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日曜日。今日の待ち合わせ時間は十時。

お弁当を作る私を、気遣っての待ち合わせ時間なのだろう。拓夢さんは、そうは言わなかったけど。

平日なのにやけに凝ったお弁当のおかずをを作り、同じような物を土曜日から仕込んでいる私に、当然母は、訝しげな顔をした。

「萌と出かけるの!」と、私は言い張った。

私一人では、上手い言い訳など思い付かない。拓夢さんに相談すれば、何か一緒に考えてくれたのだろうけど。

私は、開き直る事にした。

元々、上手に嘘がつけるタイプでもない。先週も、かなりドキドキしながら母に話した。まだ、本当の事を織り混ぜながらの話だったので、なんとかそれっぽく話せた、と思うようにしている。

もう、下手に嘘を重ねるのはやめよう。本当の事は言えないけど、嘘をつくたびに胸が痛む。

それならドーンと、大きな嘘を一つだけついて、それで全部押し通すのだ。ちょっと、大袈裟な言い方だけど。


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