ヴァージンの不埒な欲望
これから拓夢さんと会う時は全部、『萌と会う』事にするのだ。私の変化や、私が何かをするのは全部、『萌の影響』なんだから。
そう決心した私は、妙に強気に母と話していた。
母はどこまで、気付いているのだろう。二宮さんが感じてるいるような私の変化を、身近な母は、もっと強くはっきりと感じているはずだ。
それでも、最後は「萌ちゃんによろしくね」と、苦笑しながら言ってくれた。
お母さん、ごめんなさい。何も訊かないでくれて、ありがとう。
「わぁ、広いですね……」
館内に足を踏み入れ、私は溜め息とともに呟いた。
拓夢さんが連れてきてくれたのは、県立図書館だった。私がいつも利用しているのは、市立図書館だ。
二つとも、同じ市内にある。市立図書館は、閑静な住宅街の中にあり、県立図書館は、駅前からのびる大通り沿いにある。コンサートが開かれるようなホールも同じ敷地内にあるので、なんとなくいつも人が多いイメージがあり、敬遠していた。
ぎっしりと書架が並び、たくさんの利用者がいても、高い天井の館内は広々としていて、書架の圧迫感や人の多さは感じなかった。
入ってすぐ左手にコインロッカーがあり、バッグはそこに入れた。マナーモードにしたスマホだけ、スカートのポケットに入れた。
スカートは、昨日の仕事帰りに買った物だ。ベージュ色の膝丈のスカート。きちんと試着して買ったのは、いつ以来だろう?
柔らかな素材の白いブラウスと合わせてみた。