ヴァージンの不埒な欲望
顔は燃えるように熱いけど、きっと真っ赤になっていると思うけど、その人を見つめ続けた。その人の表情は、あまり変わらない。
乙女系ノベルを見せられたくらいじゃ、動揺しないって事?それとも呆れ過ぎて、何の言葉も出てこない?
「……あなたは、その……こういう作品を好んで読んでいるという事ですか?」
その人にまさか、そんな風に質問をされると思っていなくて、私は舞い上がってしまった。後から思えば、その人はそこまで細かく訊いた訳ではなかったと思う。……絶対。
「はいっ!その本にもある“王太子”とか“侯爵”とか“伯爵令嬢”とかが登場するような、ちょっとヒストリカルな香りのするお話が好きです。和物だと、明治・大正時代の頃ですね」
「……はあ……」
その人の微妙な相槌にも、私は気付けなかった。乙女系ノベルの事を語るなんて、これまでだと萌だけにしか、した事がない。
萌はマンガとアニメが大好きな、ちょっとだけ二次元寄りな女の子だ。私の乙女系ノベルの話にも、一応付き合ってはくれるけど。
だから、その人が訊いてくれた事にテンションが上がり、すっかり自分の世界に入り込んでしまったのだ。
あぁ、冷静に考えると、本当に恥ずかしい!