ヴァージンの不埒な欲望

上目遣いで拓夢さんを見ながら、ゆっくりと口を開いた。右手を無意識に目元まで上げて、眼鏡をかけていなかった事を思い出す。

この独特の緊張感は、本日二度目だ。思わず、コクリと唾を呑んだ。

「うん、すごくいい!愛美ちゃん、きれいだよ!」

「あっ、ありがとうございます!」

またもや私の頬が熱を持つ。嬉しさや照れくささ、いつもと違う自分の姿への恥ずかしさとか。拓夢さんに誉められると、一気にそんな感情がグルグル渦巻いて、顔が熱くなってしまう。

──上野さんと下田さんに見送られて、『Myself』を後にした。

お店を出て少しだけ、かけた魔法が弱まった。しっかりと歩いていた足が、不意に止まってしまった。

「愛美ちゃん?」

拓夢さんも、足を止めてくれた。

「あの!私、本当に変じゃないですか?」

俯いたまま、拓夢さんに問いかけた。

「愛美ちゃん」と声をかけられるが、顔をあげられない。今さら、こんな事を言っている自分も恥ずかしい。

さらに優しく呼ばれて、ゆっくりと顔を上げた。

微笑みながら私を見つめる拓夢さんと目があって、息を呑んだ。

「愛美ちゃんはきれいになったけど、それは元々、愛美ちゃんが持っていたものだから。俺を信じて」

「はい!」

拓夢さんを見つめ返しながら、私も精一杯に笑った。


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