ヴァージンの不埒な欲望
横山さんが見せてくれたのは、ボルドー色のニットのセットアップだった。
「よし!じゃ、さっそく着替えて!」
「えっ!」
横山さんに洋服が掛かったハンガーを持たされ、グイグイと押された。お店の中には、ちゃんと洋服屋さんにあるような試着コーナーがあった。横山さんがシャッ!とカーテンを開けると、そこに押し込まれた。
「楽しみにしてるわよ~!」
笑顔で手を振って、またもやシャッ!とカーテンを閉められた。
一瞬、呆然とした私だったが、足元を見て慌てて履いていたパンプスを脱いだ。カーテンの下の方の隙間から、そっとパンプスを試着室の外に出した。
今日は、いろんな勢いに圧される日だ……小さく溜め息をついた。でも、どこかワクワクしている自分にも気付いていた。
着ていたワンピースを脱ぎ、壁に掛かっていたハンガーに掛ける。
セットアップのスカートから履く。裾が少し広がったフレアースカート。丈は、ちょうど膝が隠れるくらい。私にしては、ちょっと短い。上のニットに袖を通す。鎖骨がきれいに見える襟元のラインが、結構大人っぽい。柔らかで、とても肌触りがいい。
正面には全身が映る鏡が取り付けてあった。エイッ!と勢いをつけるように顔を上げて、自分の全身を見つめた。
「……すてき……」
そんな言葉しか出てこない自分が、ちょっと情けない。でも、今の『私』に感動していて、うまく言葉が紡げなかった。