ヴァージンの不埒な欲望
仕事のある日も出かける時も、着やすさ、楽さから、私はよくワンピースを着ていた。小柄で華奢な私の体型にしっくりと合う服は少なく、また、自信のない体型を隠す為にも、いつもゆったりゆるゆるな物を選んでいた。
今着ているセットアップは、身体のラインが出ている。でも、ピッタリとし過ぎていないせいか、変ないやらしさはない。それどころか、上品な感じに見えると思う。自分で言うのも、なんだが。
横山さんも、私に魔法をかけてくれた……
あとは、私だ。誰かの為に、変わりたい!きれいになりたい!そう思う私の気持ち。それが、一番強力で大切な魔法──
萌が言った「楽しもう!」という言葉、上野さんが教えてくれた『一番の魔法』。私を勇気づけてくれるものが、また一つ増えたような気がした。
鏡の中の自分を見て、ゆっくりと瞬きをした。
「よし!」口の中で小さく呟くと、クルリと身体を回した。試着コーナーのカーテンを、力を込めて開いた。
パンプスを履いて顔を上げたら、拓夢さんと目が合った気がした。とたんに、膨らんでいた気持ちがシュンと萎んだ。
今の私は、拓夢さんの目にどう映っているのだろう……いつもと全然違う自分に、急に不安になった。
俯いて、それでも一歩一歩、拓夢さんに近付いた。拓夢さんの靴が目に入って、歩みを止めた。
上目遣いで拓夢さんを見ながら、ゆっくりと口を開いた。