ヴァージンの不埒な欲望

「星野さんは小柄だから、中途半端な丈は、バランスが悪かったり、野暮ったく見えてしまう。自分の身体に合った物を、今ぐらいの丈で履いた方が絶対にきれいに見えるから!」

横山さんの力強い言葉に、私は再び、全身が映る鏡の前に立った。

自画自賛をするつもりはないけれど……

『今の私』は、本当にすてきだと思う。髪はバッサリ切ったけれど、特別に凝った髪型をしている訳ではない。メイクもそうだ。

洋服だって、有名デザイナーがデザインした特注の物だという訳でもない。

それでも……いつも自分の欠点だと思っている所が、全然気にならない。

自分と丁寧に向き合い、似合う物を考え選ぶ。難しい事ではないが、私はこれまでそれをしてこなかった。

ふと、親友の顔が浮かんだ。萌は、吾朗さんと付き合うようになってきれいになった。

アニメやマンガなど二次元の世界にどっぷりと浸かっていた萌が、メイクや洋服など自分自身に目を向けるようになった。

それはもちろん、吾朗さんを意識しての事だ。

……そうか……萌も、自分に魔法をかけていたんだ。

思わず頬が緩んでしまう。私も、もっと自分に魔法をかけよう。少しでもきれいになる為に、きちんと自分と向き合って考えよう。

決心したはずなのに、私はこうやって何度も迷うのだろう。そのたびにまた、今の気持ちを思い出せばいい。


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