ヴァージンの不埒な欲望
「ちょっと待っててね」と私の肩を叩いた横山さんは、店舗部分の扉から一度中に入って、四角い透明ケースを持ってすぐに出てきた。
ケースの中には、ボルドーとベージュのオーガンジーを重ねて作られたコサージュが入っていた。
「きれい……」
私の左胸の少し上に、横山さんはコサージュを付けてくれた。
「こういうアクセサリーも作ってるの。これは、私から星野さんへのプレゼント!髪に付けたり、バッグに付けてもかわいいのよ!」
「えっ!そんな、申し訳ないです。ちゃんと料金をお支払します!」
慌てて言う私に、横山さんは右手の人指し指を一本だけ立てて揺らしながら、「ノンノンノン」と言った。
「目上の人からの好意は、素直に受けるものよ。それは、年下の特権なんだから。じゃないと、こちらもカッコつかないわ!」
「ねっ!」と横山さんに小首を傾げられ、申し訳ない気持ちを持ちながらも、ここは素直に甘える事にした。
「横山さん、すてきなコサージュ、ありがとうございます。大切に使わせていただきます」
私が頭を下げると、「うん、それでいいの!」と頭を撫でてくれた。
「じゃあ丈を確認するから、もう一度、紺色のワンピースに着替えてね。と、その前に……」
横山さんは再び、扉の向こうに消えた。そしてすぐに、一眼レフのカメラを携えて姿を現した。