ヴァージンの不埒な欲望
「加賀見さんのおかげですか?」
コクりと頷いて、拓夢さんは口を開いた。
大学で知り合った加賀見さんと、なんとなく気が合い、気付けばいつも一緒だった。就職先も同じ商社を選んでいた。配属された部署は違ったが、ずっと付き合いは続いていた。
「入社して四年目を迎える頃、一緒に起業しないかと加賀見に誘われたんだ」
仕事もおもしろかったし、自分で『起業』なんて考えた事もなかった。ただ加賀見さんが、お母さんの出身地で起業を考えているという事が、妙に引っかかった。
加賀見さんのお母さんの出身地が、拓夢さんの故郷の隣県だという事は知っていた。
思えば、就職してから一度も故郷に帰っていない。遠かったし仕事も忙がしくて、そんな余裕がなかった。
結局、はっきり断る事もできないまま「考えさせてくれ」と加賀見さんに言った。
「それからすぐに、加賀見の親父さんから連絡をもらって会ったんだ。そこからは、何もかもがあっという間に決まっていった」
その時の事を思い出したのか、拓夢さんは苦笑いを浮かべた。
加賀見さんのお父さんは、起業する時は全面的にバックアップすると約束した。そればかりか、若い二人の起業に少しでも箔がつくようにと、アメリカに留学してMBA取得の為の費用も負担すると提案してきた。