ヴァージンの不埒な欲望
仕事の日は、しばらくは眼鏡を掛けて行く事にした。髪も切ったし、眉毛も整えている。いきなりいろんな事を変えてしまったら、職場の大先輩達の追及が厳しくなる。
そう思って眼鏡を掛けたのに、結局こうして、職場のグループリーダーの二宮さんから、昼休憩に追及を受けているのだ。
「きっ、昨日、声をかけられたんです」
母にした話を、さらにたどたどしく繰り返す。
「ふ~~ん。本当に、それだけ?」
「はい!それ、だけです」
二宮さんの探るような視線に、さらに身体を小さくしながら答える。
「二宮さん、それくらいにしておきましょう。それ以上は、パワハラですよ?」
私と向かい合って座る志村(しむら)さんが、滅多に見せない真剣な顔で言う。
「おっと!いけねえ、いけねえ!」
二宮さんが左手でおでこをパチン!と叩いた後、冗談めかして言った。周辺で小さな笑いが起こり、とりあえずこの話題は終わったようだ。
新人にも気さくに声をかけ、親身になって相談にのってくれる。三人いるグループリーダーの中で、新人指導が一番上手なのが二宮さんなので、私のような厄介な新人は、二宮グループに入れられる。二宮さんが“パワハラ”と、一番遠い所にいる人だとみんながわかっているので、先程の会話が笑い話になるのだ。