明日の蒼の空
「どうもご馳走様でした。拓哉の様子を見に行ってくるわね」

「はい。いってらっしゃい」

 夏美さんは夕食を食べた後、ほとんど毎日のように彼氏さんの様子を見に行っている。

 大切な彼氏さんに逢いに行くことが夏美さんの日課であり、楽しみの一つなのだと思う。

 私は食器を洗いながら、夏美さんの帰りを待つ。



「ただいま」
 食器洗いを終えて、紅茶を淹れていたとき、夏美さんが笑顔で戻ってきた。

 今日は、昨日より十分間ほど長かったような気がする。

「拓哉さんの様子はどうでしたか?」
 夏美さんの彼氏さんの様子を聞くことも私の日課の一つ。

「ビールを飲みながら、映画のDVDを観てたわよ。コメディ映画のようだったから、声を出して笑ってたんだ」
 嬉しそうな顔で彼氏さんの様子を話してくれた夏美さんを見て、私は安心した。

「お元気そうで何よりですね」

「うん」
 彼氏さんの様子を見に行った後の夏美さんはものすごく機嫌が良い。今日も口笛を口ずさみながら、冷蔵庫からビールを取り出した。
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