明日の蒼の空
 私は姉の様子を見に行ったことがある。

 夏美さんの家に来てから一週間後の夜、大切な人に逢いに行く方法を夏美さんが教えてくれた。

 その時の姉は薄暗い部屋で正座して、私の写真を見つめながら泣いていた。

 私は姉に何も伝えられず、声を掛けることもできず、ただただじっと姉の顔を見つめていた。

 正直なところ、見ているのが辛かった。申し訳ない気持ちでいっぱいになった。涙が止まらなかった。あの時、私がちゃんと前を向いて歩いていれば、姉を悲しませることにはならなかったのに。私の小さな心は大きな後悔の念で埋め尽くされてしまった。

 その日以来、姉の様子は見に行っていない。もうしばらく経ってから、見に行ってみようと思っている。

 私が小学四年生の時、突然いなくなってしまった両親の代わりに私を育ててくれた姉は子供の頃から強い人。友達がいっぱいいるし、結婚を前提として付き合っている彼氏さんが支えてくれていると思うので、いつかきっと立ち直ってくれると信じている。その日ができるだけ早く来ることを、心の底から願っている。
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