明日の蒼の空
「蒼衣ちゃんも、ビールを飲まない？」
　夏美さんは、私のことをちゃん付けで呼んでいる。

　正直なところ、ちゃん付けで呼ばれるのはちょっと恥ずかしい。

　私は背が低いし、見た目が幼いので、大人の女性の夏美さんが私のことをちゃん付けで呼ぶのは仕方ないと思っている。

「い、いえ……。私は遠慮しておきます」
　今日も夏美さんの誘いを断ってしまった。

　私はお酒が苦手で弱い。ちょっと飲んだだけで茹でダコみたいに顔が真っ赤になってしまう。すぐに酔っ払ってしまって、思考が完全に停止してしまう。

「ふふふ、冗談よ。蒼衣ちゃんも椅子に座って」

「あ、はい」

「拓哉はさ」
　ダイニングの椅子に座って、ビールを飲み始めた夏美さんが彼氏さんのことについて話し始めた。私も椅子に座り、紅茶を飲みながら、夏美さんのお話に耳を傾けた。

　今夜は、彼氏さんの好きなことや好きなものについて話してくれた。

　夏美さんは口に出して言わないけど、彼氏さんと一緒にお酒を飲みたいと思っていると思う。それは当たり前なこと。
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